眠るオダリスク

アンリ・マチス
1869~1954
眠るオダリスク
1929年
リトグラフ 260×472mm
説明
フランスの画家で版画家、マティスの代表的なリトグラフ。オダリスクとは、ハーレムでイスラムの君主(スルタン)に仕える女性のことです。18世紀以降の西欧では東方趣味が流行したため、これを主題に多くの美術作品が生み出されました。マティスが描いたオダリスクでは、柔らかな線の表現が女性の美しい寝姿を際立たせます。
マティスは1891年にパリ国立美術学校でギュスターヴ・モローに師事し、1900年頃から版画の制作を始めたといいます。エッチング、リノカット、リトグラフやポショワールなどの版画技法を手がけ、その生涯で800点を超える版画作品を制作しました。1920年代後半にオダリスクやアラベスクを主題としてリトグラフを多数制作。この時期には数多くの傑作が生みだされました。
南仏ニースのホテルの内装を、マティスは好んで作品に取り入れています。タイル張りの床や升目のある壁紙の模様、寝台に横たわるオダリスクのあでやかな衣服の模様などが、独特の柔和な線をもちいて丹念に描かれています。